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空に響く破裂音。
乾いたその音は壁に反響して少しだけ木霊を返した。
それが銃声であったことは用意に想像できた。
反射的に振り返りリーダーを見やるReal。
そこには、見たことを後悔する惨劇しか無かった。
今、まさに倒れて行くリーダー。
その瞳は瞬きもせず見開いたまま、隔離区域の外を見つめていた。
そのやや上からは鮮血とも脳漿ともとれるモノが少しずつ排出されている。
後頭部から打ち抜かれたのであろう。派手な出血は無い。
そのまま、歩こうと踏み出した左足が宙に浮いたままバランスを崩し、倒れ込んで行く。
それはとてもゆっくりに思えた。
レッドキャップスを騙し時間を稼いだ時間よりも。
隔離区域の扉が開くのを待つ時間よりも。
ずっと、ずっと、ゆっくりだった。
倒れていくリーダー越しにツーが見えた。
彼も彼女を見ていた。
「りっちゃん!!」
「リーダー!!」
二人は同時に叫び声を上げる。
「残念。ゲームオーバーだ。誰もこの狂った世界から抜け出せやしないのさ。誰も俺には逆らえねぇ!!」
声のする方を仰ぎ見る。
装甲車の上で銃を構えるレッドキャップスのヘッドがいた。
「貴様っ!」
ツーの叫び声が聞こえた時だった。
ゴッ。
後頭部に鈍い痛み。
ーーーしまった…気を取られすぎた。
薄れ行く意識の中でヘッドに襲いかかろうと装甲車に登っていくツーを見ていた。
薄れ行く意識の中で扉の前に横たわるもう動かないリーダーを見ていた。
*** *** ***
闇だ。
どこまでも暗い闇が広がっている。
「キミはいつだって私を見ていてくれなかったでしょ?」
「ゴメンね…でも好きだったんだよ。」
遠い昔の誰かの会話だ。
「…なんだか複雑。キミを守ってこんなことになるなんて。」
「…うん。」
「でも、なんだか悲劇のヒロインっぽくていいかも。」
「…うん。」
「キミといれて楽しかった。もっと一緒にいたかった。」
「…うん。ごめんね。」
ホントは看取られたかったのは俺自身だ。
「…!!」
闇の中から急に現実に目覚め身体を起こす。
「夢でも見ていたか?」
声のする方向に目を配らせるとツーがいた。
右腕に、左足に、そして額に包帯を巻いて、彼がいた。
「…すまない。逃げてきた…。」
目を合わせたツーの主語のない謝罪。不意に後頭部に鈍い痛みを覚える。
後頭部を抑えRealは覚醒後はじめて言葉を発した。
「…夢じゃなかったんだな…。」
悪夢の様な現実を突きつけられた二人はしばらく言葉を発せずにうつむく。
「…りっちゃんは?」
沈黙を破るようにRealがそう問い掛けた。
「…お前を抱えて逃げることがやっとだった…すまない。」
ツーの2度目の謝罪。
「…いや、アンタも満身創痍って感じだしね。棄てないで拾ってくれたことには感謝してるよ。アンタに責任はない。責任は絵を描いた俺にある…。ありがとう。…ごめんね。」
「…お前はよくやってくれた…俺はお前を責めることなどせんよ。…誰にもお前を責めることはさせない。」
「…。」
ツーの優しさが痛かった。
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