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Realは立ち上がりおもむろにポケットから携帯電話は取りだした。電王に電話をするためだ。折畳みタイプの携帯を開くと見計らったように電話がかかって来る。
電王からだ。Realは通話ボタンを押し話しかける。
「ナイスタイミングじゃん。今、オタクに電話しよーと思ってたとこだよ。」
「なんだ?今から乗り込むのかよ?夜とかを待ったほうがよくね?」
「…なるべく早くりっちゃんを取り返してあげたいの。脱出口見てきたけどりっちゃん…いなかったからさ。」
「ふーん。そんなの俺が見てやったのに。」
「…そういえば…そだね。そろそろ、カメラの切替頼むよ。一応今んとこ衛星監視や壁のカメラには映ってないと思うけど、こっからはさすがに隠れていらんないからさ。」
「…今の場所を教えな。」
「多分…D-4地区の端。」
「1分以内にレッドキャップスのホームを中心に6区画の全ての情報を書き換えてやんよ。」
「あんがと。」
「…そんなことより…。」
電王はそこで初めて会話の間を取った。
Realからは先の催促はない。少しの沈黙の後、意を決したように電王が口を開く。
「わかったぜ…あんたの過去。」
電王と別れてから多分、六時間くらいしか経っていなかっただろう。案外簡単にわかるものなんだな。Realはまるで他人事のようにそんなことを考えていた。
Realからのリアクションがなかったので、電王はそのまま話を続けようとする。
「アンタ…とんでもない人間だったぜ?…実はな…」
「あぁー。今はいいや。また終ったら聞く。」
そう言って電王が話しているのを遮り、Realは携帯の電源を切った。
*** *** ***
レッドキャップスのホーム。ヘッドの自室。そこからは熱っぽい吐息が漏れていた。
「ヘッドお気に入りの「家畜」見つけたの?なんか昨日からずっとじゃね?」
ヘッドの自室へと繋がる裏口を警備しているレッドッキャップスの一人が、そうもう一人の見張りに話しかける。
「家畜」というのは、レッドキャップスが狩で捕まえてきた隔離区域に住まう女性のことだ。レッドキャップスはコンテナの様な倉庫に家畜として女性を詰め込み、気に入った女性を犯す。そんな生活をしていた。同じ女を犯せばレッドキャップスのブラザーだ。そんな卑下たルールを儲けては女性を輪姦する。
具合がよければそのままヘッドの妾としての慰みモノになる。
ヘッドはと言うと、昨日の脱出阻止のゲームが終ってから自室で食事も取らず淫行にご盛んだった。よほど気に入った女でも手に入れたんだろうと思い、見張りの男は「相方」にそう訪ねた。
「バカ。ちげーよ。ヘッドが犯してるのは、昔の女だよ。お前も昨日連れて帰ってきたの見ただろ?」
「マジで?それって死姦ってヤツ?いよいよイカレちまったのかな?」
「バカ!声がでけーよ。聞こえるぞ。」
そんな会話をしながらつまらなそうに出入口の前で座する見張りの二人。
しばらく会話をした後、話題も無くなり少しの沈黙が支配する。
バウンッ。
少し篭った様な破裂音がした。戸を開け閉めする程度の小さな音だが、それは確かに破裂音だったと思う。
「なぁ?今、何か聴こえなかった?」
そう話しかけながら「相方」を見ると、相方は横向きに寝転がっていた。
「…なに、寝てんだよ?ちゃんと見張ってねぇーとボコられるぞ?」
そう言って「相方」を起こそうと近寄ると、頭から血を流しているのが見えた。
事態が把握出来ず、抱き上げて見ると頭の頂上に風穴が空いているのが見て取れる「レッドキャップ」に2センチに満たないくらいの穴が空いていた。
何とかそこから、どういうことが起こったのか把握出来そうだと思った時、もう一度「バウンッ。」という小さな破裂音がした。
そこからは何故か自分が何を考えているのかがよくわからなくなってしまった。
身体を起こそうとしても上手く行かずに、そのまま倒れ込んでしまう。「アレ?なんかおかしいな。」そう思いもう一度、身体を動かそうとするが、やはり上手く動かない。
不意に目の前に人が降りて来たのが見えた。右手は布でぐるぐる巻きになっている。
「リボルバー式だとサイレンサー付けても意味ないから、布にくるんでみたらどうかな?って思ったけど案外音が漏れなくていいね。」
不意に現れた人はそんなことを言っていた。
薄れ行く意識の中で、ようやく事態の把握が出来た。
そうか…俺達は屋根の上から脳天を狙撃されたのか…。
そう、結論を出すと共に、見張りの男は意識を失い、死出の旅路へと向かって行った。
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