月の詩
十七歳隔離区域
第十九章  「不都合な真実」
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Grandpa(グランパ)。God(神)。Genocide(大量殺戮)。

近代において最も人を殺したであろう希有な遺伝子。我らが父。人の世の神。それを受け継ぐ「G」の血脈。

「…なんだよそれ…。」

ギーはあまりの衝撃にキャパシティは完全に決壊し、崩れるようにその場で膝を着いた。

「…大丈夫か?」
ツーがギーに歩み寄る。

「…ギー。辛いなら席外してもいいんだよ。これはきっとまだ序の口。これからさらにしんどい話しがあるんだろうから…。」
Realは冷めた視線をディスプレイに投げ掛けながらそう呟いた。その言葉に満足そうに唇を歪める電王。

「…どういうことだ?」
「…これくらいじゃ、俺が電王に殴られる理由にならないってことだよ。」
ツーの問いにRealは視線を変えることもせずにそう応えた。

「俺が電王なら、こんな真実をわざわざ公開する必要はない。自分が劣性で自分が嫌っている人間が優性なんて事実を公開するメリットなんてないからね。これは電王が掴んだ真実のために明かす必要のある布石の一つ、本題はまだこの先にある…そうだろ?」
Realの言葉に電王は初めてイスを廻転させ、Realたちと向かい合う。
そこにはさっきまでの卑下た笑い顔はなかった。
「覚悟がないやつは見ない方がいいぜ。知らなくていいことだってあるんだからな。」
電王は一人ひとりを見ながらそう言葉を発する。

「…続けろよ。」
電王の言葉にいち早く応えたのは意外にもギーだった。

「知らなきゃいけない事だってある。知りたかった事だってある。…俺はりっちゃんのコトも知らなかった。Realがりっちゃんを取り返してくれてたことも知らなかった。何も知らないまま何かが進んで終っていくのはもう沢山だよ。…俺は知りたい!」
ギーの真っ直ぐな視線を横で見ながらツーの言葉がRealの脳裏を過る。「力では俺の方が上だろうが、きっとギーには勝てない。…俺もお前もな。」ギーはやっぱり強い。Realは心の中でそう呟く。

「全員、いいんだな?」
電王の最終確認に3人が頷く。それを確認し電王は再び端末に向き直り操作を再開した。

「俺はこの情報を見つけた後に、この研究に携わっているイカレタ研究者を調べ上げた。結果、行き着いたのは案の定、米国の軍事機関に属するマッドサイエンティスト達だ。日本人研究者もいたがな。そこの軍事研究として、この隔離区域は存在している。…ところがだ。」
言葉の終了とともにEnterキーが押される。するとディスプレイには新しいウィンドウが開かれた。
「アメリカは秘密裏にこの研究を進めていたが、内部告発にあったらしい。まだどこからのバッシングを受けていないところを見ると水際で阻止したみたいだがな。だが大統領は今回の事件を重く受け、「ここ」を解体することにしたんだ。」

「やった!じゃあここから出れるんじゃん!」
ギーの顔が一瞬で明るくなる。
「…違うな。なかったことになるんだよ。」
ギーの発言を電王は間髪入れずに否定した。

「ここがただ単に解体されて、なかったことになっても、俺達は生きた証拠になっちまう。何しろ遺伝子が残ってることになるわけだからな。だからアメリカはこの研究自体。この施設自体をなかったことにする気なんだ。」
「無かったことって…。」
「外に向けての報道なんてなんとでもなるだろ?ここの情報はアメリカの犯罪遺伝子調査をしている軍事機関以外持ってないんだ。データを処分して、衛星をぶっ壊して、ここには新種のウイルスでも発生したとか言っておけばいい。真実なんてそんなもんだ。だれもその内側にまで踏み込もうとなんてしないさ。」

「…で?ここはどう無かったことになる?」
Realは一通り電王の会話が済んだところを見計らってそう問い掛けた。

「…相手は軍隊なんだ。当然軍事制圧だろ?バイオハザードっていう名の基の。…Realが電話に出てさへいればもっと早くこの真実に辿り着けたはずなんだがな。」
「…それが俺が殴られる理由か。」
「そういうことだ。…認めたくないが、オマエの頭のキレかたはハンパ無いからな。戦略も事前に立てれただろうよ。」
電王はそう言ってRealを睨みつけた。

「…はっきりとは解らないが、今朝、軍事政策のプランデータを入手した。Xデーはそうとう近いと思うぜ。」
端末に移し出された書類は全て英文のものだったが一ヶ所、注目すべき数字が目に付く。

【20XX.11】

「2ヶ月後…!!」
ウィンドウに目を移したツーがそう叫んだ。